伝統の美をモダンな表現に置き換えて、“ここだけ”の価値を伝えていきたい〜フォンテーヌ・ブロー 新進気鋭の若手支配人の挑戦
フォンテーヌ・ブロー
神奈川
箱根仙石原、高原の閑静な別荘地の佇む『箱根 フォンテーヌ・ブロー 仙石亭』、そして、静岡県・熱海の相模湾を一望できる高台に位置する、『オーベルジュ フォンテーヌ・ブロー熱海』の2つのオーベルジュの支配人をつとめる、廣瀬雄大さん。
本物を知るお客様が多く、日々クオリティの高いサービスを求められるハイエンドなオーベルジュを運営される中で、地域に根差した”ここならでは”のおもてなしを追求されている廣瀬さんに、今回、取材をさせていただきました。
今回は、cocodakeを活用し、地域のつくり手さんの手による伝統の価値を伝えることによって、「フォンテーヌ・ブローらしさ」をいかに表現していけるのか。Cocodakeの活用事例と地域を活性化する取り組みのプロセスについて、お話を伺いしました。
「cocodakeであれば、自分たちの思い描くことが、これ1つでできるかもしれない」と可能性を感じて
宿泊CX/DXに関するサービスは、知人からの紹介であったり、自分でも展示会に参加して情報収集するなど、以前から注目していました。
ただ、多くのサービスは、ある機能の使いやすさに特化している分、それ以外のことができなったり、サービス内容と質を総合的に考えた時に費用感が見合わなかったりと、いざ導入しようと思っても妥協しなければならない点があって、なかなか決めきれずにいたんです。
そんな中で出会ったのが、cocodakeです。
代表の霜竹さんにお話をお聞きした時、「cocodakeであれば自分たちがやりたいと思っていることが、シンプルにこれ1つで実現できるかも知れない」と直感し、大きな可能性を感じました。
館内の情報や旬のトピックをリアルタイムで発信できるだけでなく、デザインもシンプルで使いやすく、洗練されていること。お客様からの見え方だけでなく、私たちスタッフ側の視点からも、ユーザビリティの点であらゆる工夫がなされている点に感動しました。
「これがあれば一石二鳥、いやそれ以上のことができるのでは。魅力的な仕掛けができれば、そこから次々と面白い化学反応が起こるかもしれない」
そんな期待感もあって、導入を決めました。
地元職人さんとホテル、それぞれの強みを結び合わさった時に起こる、化学反応
cocodakeにはさまざまな魅力があると思いますが、とくに惹かれたのは、「地元の生産者さんとお客様をつなぎ地域を活性化する」というコンセプトです。地元の職人さんや地元産業の方々とも協力して、地域全体を盛り上げていけるしくみが構築できると、実装のイメージが浮かんだんですね。
というのも、私は現在、箱根と熱海の2つのオーベルジュを担当しているのですが、地域に根ざした仕事をしていると、ものづくりはやはり避けては通れない部分があって、以前からさまざまな課題を感じていたからです。
たとえば、箱根には寄木細工、熱海には組木など、昔から長く続いている伝統工芸があって、職人さんの匠の技は素晴らしいのですが、一方で、発信力や販売力に関しては弱いと感じることがあります。
もちろん、この背景には、ものづくりに携わる方々の高齢化や後継者不足といった課題もあると思いますが、せっかく良いものがあるのに魅力を伝えられず埋もれたままというのは、もったいない状況だと思うんです。
そう考えた時、「僕らホテルは、職人さんのようにものづくりはできないけれど、その代わりにものの魅力を伝えたり、スペースの一部をショールーム化して販売のしくみを構築すれば、貢献できることがある。両者の強みをうまく組み合わせて、新たな顧客接点をつくることができれば、そこから色々と面白い化学反応が生まれるかもしれない」と可能性を感じました。
ただ、システムを導入して新たな販売の仕組みができたとしても、ホテル側が在庫を抱えなければならなかったり、お客様が商品を購入された後に梱包や発送を担うことになったとしたら、通常業務が増えて、スタッフにも負荷がかかってしまうのでは?という懸念がありました。
しかし、cocodakeはその点もクリアになっていて、ホテル側の負担がないような仕組みになっていたので、最初から安心感がありました。
本物のサービスを追求する中でたどり着いた、“伝統”の価値を伝える意義
こういうお話しをすると、「もともと伝統工芸に興味があったのですか?」と聞かれることもありますが、実はそんなことはなくてですね(笑)。
ただ、私たちは常に、本物のサービス、クオリティの高いおもてなしを追求しているので、「本質とは何か?」ということを考える機会が多くありまして。
そういう中で、いつも立ち返るのは、“伝統”なんですね。
たとえば、フランス料理を例に挙げると、日本で楽しめるフレンチは本場のものとは異なり、食材の使い方や技法など、日本人特有の繊細な感性が生かされたものになっていると思います。
伝統=クラシカルな価値があるからこそ、その土台となるエッセンスが継承されて、多様なアレンジが可能になる。結果、今なお、世界中で愛される美食であり続けていると思うんです。
流行というのは一時はブームになったとしても、やがて終わりがくるものだと思います。ただ物事の根底、芯の部分にしっかり伝統が息づいていれば、そう簡単に廃れることはない。
本質は形を変えても必ず残り続けるもので、同時に残す意味、残るべき価値もあると思っています。
そこに、伝統が継承される意味があると思っています。
オリジナル商品を通じて、フォンテーヌ・ブローらしさを感じていただけたら
伝統の価値、クラシカルに宿る本質を当館でも伝えていきたいという思いがあるので、熱海の方はお食事のシーンで、組木を使ったメニュースタンドやおしぼりのトレー、コースターなどを提供しています。ふとした瞬間に、お客様の目に留まって「地域らしさ」を感じてもらえたらいいですね。
それから実は今、箱根の方はあめつちさんにお願いして、トーションリングを制作いただいています。
海に面した熱海の明るいイメージとは異なり、箱根は山の中にあって、お客様もシックで重厚感のある落ち着いたデザインを好まれる場合が多いので、そんなイメージでテーブルウェアができないかご相談していました。
フォンテーヌ・ブローではお客様にいつも“本物”を感じていただきたいという思いがあるので、素材は本革がよいこと。また、SDGsの観点からもなるべくロスが出ない商品をつくりたいという要望を、私から担当の竹内さんにお伝えしていました。
そして、先日いよいよサンプルができ上がってきたのですが、非常にかっこいいデザインに仕上がっていて、とても嬉しく思っています。
トーションリングはお食事のシーン以外にも、リングやキーホルダーなど、今後汎用性も出てくると思っているので、まずは弊社のオリジナル商品ができたのは、大きな布石だと感じています。
今後は地元の方と協力しながら、オリジナル商品を積極的に増やしていきたい
熱海と箱根、それぞれの土地にそれぞれの魅力があるので、今後も「その土地らしさ」が伝わるようなオリジナル商品をつくって、お客様にご紹介できる場を提供していきたいと思っています。
実は今、あめつちさんに依頼しているトーションリングと同時進行で、アメニティや家具などの自社開発プロジェクトも進行しているので、そういう商品も含めて今後、cocodakeにアップして体験Eコマース事業につなげていきたいと思っています。
私はもともと直感型で、「まず動き出さなければ何も始まらない」と思っているタイプなんです。いつも手探りで見えない部分もある中で、今こうして徐々に形になってきている実感を得られることは本当に嬉しいことですね。
最初の小さな点が、さまざまなご縁につながり、化学反応が起こっていくイメージもあります。
挑戦はまだ始まったばかりですが、熱海と箱根を自らリードする存在として、地元に貢献できる存在になれるよう、この仕組みを最大限に活用していきたいと思っています!
お話を伺った方:フォンテーヌ・ブローの支配人・廣瀬雄大さん
【cocodake(ココダケ)お問合せはこちら】
〜フォンテーヌ・ブローのご紹介〜
▼箱根 フォンテーヌ・ブロー 仙石亭
住所:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原1245−703
アクセス:箱根湯本駅からバスでおよそ50分
公式サイト:https://www.fontenu-hakone.com
▼オーベルジュ フォンテーヌ・ブロー熱海
住所:静岡県熱海市下多賀1484−5
アクセス:JR 伊豆多賀駅より徒歩10分